持田叙子『荷風へ、ようこそ』

朝の地震のニュースがつづいています。

Twitterでも知人の無事が報告されていますが、、、。

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永井荷風の日記『断腸亭日乗』の1923年9月1日の記載には、関東を襲った震災のことが記されています。

その日、荷風は家の書架の近くで本を読んでいました。

だから、揺れによって本が落ちてきて驚き、本を持ったまま庭に出たとあります。

そのあとの避難や荒廃した東京を歩きまわったようです。

やっと自宅の庭掃除をしたのは18日。その間は長いです。

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ところで、荷風は日記に庭掃除や花木のことを書きとめていますが、この人がシンプル・ライフを実践しようとした作家であったという見方を知ったのは、この本を読んでからでした。

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持田叙子『荷風へ、ようこそ』(慶應義塾大学出版会)。

銀座、浅草に遊び、昔にいう花柳界のことを書いた作家とだけ思われがちですが、私生活は住まいを好みにしつらえ、庭掃除をし、ひとり居を楽しみつつ過ごした人であったそうです。そのことが作品や日記から詳しく書かれています。私はこの本を読んで以来、荷風の生活者の面に関心を持ちました。

荷風はつきない魅力があります。『断腸亭日乗』の拾い読みも楽しいものです。

雨の日もは晴れの日も、家で本を読み、そのあと街に出ていき、古本展覧会(古本市のようなもの?)やカフェ、友人、その他いろいろに寄り、日々を過ごし、いろいろな感想を書きとめています。

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曇り日がつづきますね。でも、こんな日に荷風はどうしていたか、あるいは自分の好きな作家、城夏子は、森茉莉は、鴨居羊子は、と読んでみるのもなにかしら発見があります。

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今日もいい日に。









by komako321 | 2018-06-18 12:22

見たこと、読んだ本のこと、聞いたことを書いています


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