梯 久美子著『この父ありて 娘たちの歳月』

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どんな人も生まれたのだから、父母がいます。女性の作家、詩人たち9人の著作のなかの言葉と彼女たちの父との関係を浮き彫りにした『この父ありて 娘たちの歳月』(梯 久美子 文藝春秋)を読みました。

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渡辺和子、齋藤史、島尾ミホ、石垣りん、茨木のり子、田辺聖子、辺見じゅん、萩原葉子、石牟礼道子、どの人も大きな仕事をした人、彼女たちのお父さんはどんな人?
詳しくは本に書かれているのを読むと父の娘から見た実像が見えるのですが、どの人も父の影響、薫陶、反発、後悔などを後年まで受けつづけていて、さまざまな父への思いのなかで生きていたことを知ることができました。
とくに修道女となった渡辺和子の父は渡辺錠太郎という人で、彼女が9才のときに二・二六事件で父を殺される場面を直に見ていました。
この事件の父のことがその後の生き方を決定したのですが、読んでいて感銘を受けました。

他の「もの書く女性」も父との関係が濃く影響していることが本からわかります。
幸福な関係であったり、そうでなかったり。
でも、彼女たちの残した文学はどれも深く人間を描き出している。そのことに父との関係が及ぼしたものは大きいと思いました。

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今日もいい日に。


by komako321 | 2023-03-22 09:29 |

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